昨年、読んだなかで最も感銘を受けた小説。
物語の舞台は幕府瓦解後の花街、主人公は行き場を失ってしまい、苦界に流れ着いた元武士。まずその設定がいい。明治初期の大変革期にはこんな人が少なからずいたんだろう、と思わされます。読者は彼と共に苦界を徘徊します。優れた歴史小説を読む効能でしょう。
随所に僕好みのあざといスタイリッシュな表現があってぐっときました。
「再び空が、発光した。 雷鳴を背負って、龍造が一歩一歩近づいてくる。」
読みながら徐々に、「漂砂」の意味がわかってきます。
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